おかあさん

今日は私の母の命日です。

“おかあさん”と呼べる人がいなくなって、
随分と年月が経ちました。

誰もいない部屋で“‥おかあさん‥”と、
そっと声に出してみました。

“おかあさん”の言葉が懐かしく響きます。

耳の奥で、まだ若く元気だった頃の母の声が
聞こえたような気がしました。

今回は《おかあさん》の言葉に纏わる、子育て中のエピソードを…。

次女がまだ5歳の頃の事です。

お夕飯の支度に余念のない私に、
  “おかあさん”  

後ろから声をかけてきました。

 〈なあ~に?〉
フライパンを揺する手を止め振り向く私。

 “………” 
何も言わずテーブルに頬杖付いてニコニコ笑っている娘。

なんでもないのかしら‥と、
前に向き直って、また忙しく手を動かす私に
またまた

“おかあさん”

〈なあ~に?〉

“………”

そんなやりとりを5,6回繰り返したでしょうか、
  
 〈Nちゃん、ご用はなあ~に?〉
と、ガスを止め
体全体振り向いて娘に尋ねました。

すると娘は
“おかあさん、ご用がなくても、おかあさんって呼びたくなるときがあるよ”

…娘から貰った、忘れられない言葉です…

おかあさん