ピコとムーの話

ウズラのピコは、
6年前、まだ中学生だった次男が、
英語の先生から貰い受けてきました。

ヒヨドリのムーは、
2年前、夫が仕事先の駐車場で
巣から落下した雛を見つけ拾ってきました。
自然界の掟に逆らう行為のようですが、
その日が私の誕生日だった事もあり、
「これも縁だね」と話す夫の言葉で、
家族の一員になりました。

歩き回るだけのピコは大き目のウサギ小屋に、

うずら

翼を広げたいであろうムーは
犬用のサークルを改良した小屋に‥

ヒヨドリ

上下に重ねられ、
家族が寛ぐリビングの一隅が彼らの棲みかとなりました。

同じ鳥仲間とはいえ、
姿も鳴き声も違う2羽の鳥は、
食物や習性さえも異なり、
別の生き物のように思えました。

でも、それは勝手な思い込みだったようです。
人が他国語を理解するように、
ピコとムーも、いつしか互いの鳴き声を理解し、
存在を受け入れ、気持ちを通わせ合っていたのでしょう。

6月16日ピコが死にました。
これが寿命なのか…
素人の私達には分かりませんが、
突然の悲しい別れに家族は泣きました。

でも、
悲しみに沈んだのは私達だけではなかったのです。

ピコの事は鳴き声だけで、その姿さえ見たことのないムーが、
その日を境にみるみる元気を無くしていきました。

ピコが最後に力一杯、“ぴー”と鳴いたのは、
ムーへの“さよなら”だったのかも知れません。

今朝…いつもと変わらない朝でした。
いつも通り“おはよう”と声を掛けながら
ムーの小屋を覗きました。

ムーは冷たくなっていました。

どんなに小さな命でも
その存在の大きさは計り知れないものです。
心にできた隙間のなんと大きいことでしょう。