鴨居駅にツバメの巣

梅雨空に紫陽花が良く似合います。
最近 横浜線の鴨居駅を利用することがあり、駅改札に向かう階段を上がっていると、
ふいに黒と黄色のトラ柄のロープに行く手を遮られました。
驚いていると、頭上で賑やかな黄色い鳴き声。
近くの張り紙に目をやると、『上につばめの巣があります。巣立ちまでの僅かな期間ですがあたたかく見守って下さい。』
何ともほっこりとさせられる張り紙に仕事の疲れもどこかへ飛んで行ってしまいました。
巣の中では、ひな鳥がツバメ独特の鳴き声を上げて親鳥の帰りを待っています。
ツバメは、春になると南の国から長い距離を飛んで日本へやってくる渡り鳥で、人家の軒下、商店のシャッター内、駅の構内など、人が多く出入りする場所で巣作りをする身近な野鳥として知られています。 都会では見る機会も少なくなりましたね。
ところで、ツバメと聞いて何を思い浮かべますか?私はオスカーワイルドの『幸福の王子』です。
小学校の低学年だったと思いますが、家にあった「少年少女世界文学全集」の中に収められていたものを読みました。
悲しくて何度も何度も読み返したことを覚えています。
民を想う優しい王子の気持ちに寄り添い善行を為したツバメは南の国へ行き損ね力尽きて屍となってしまいます。王子の像の足元にツバメの死骸が転がっているその様を想像し、やるせなさ、理不尽さに悲しくてたまらなかったのかなと、後にそう思いました。
大人になって読み返せばまた違った捉え方ができるのだと思いますが、子供の頃の感性が今は ただ懐かしい。