M子さんの作文

かつてアリスで学び現在東京の女子校に通うM子さん。
今日はM子さんが1年生の時に書いた作文を紹介します。
ご両親、そしてご本人の了解を得ての記載です。

『 くやしかった日 』


 きょうはあねのマーチングバンドぜんこく大かいでした。
ことしのテーマは、「はる」です。
「はるよこい」からはじまって、きれいな八きょくのメドレーです。
わたしは八ばんめの「一年生になったら」が一ばんすきです。
あねはいつも、あさからばんまでれんしゅうをがんばっていて、
とてもすごいとおもいます。
えんそうはとても上手でした。
でも、まけてしまいました。
 けっかはっぴょうのとき、
わたしは、ははがじゅけんのときにつくってくれたおまもりと、
きょねんのぜんこく大かいで金しょうをとったときのおまもりを、
百ばいパワーでぎゅっともって
「ぜったい、ぜったい金しょう」とおねがいしていました。
でも「シルバー」といわれて、
手に力が入って、こえが出ませんでした。
ちちもははもだまっていました。
すこしして、ははと目があいました。
とつぜんなみだが出て、とまりませんでした。
 
わたしは、まけるというのをはじめてしりました。
とってもとってもとってもくやしかったです。
じごくはしらないけれど、じごくにいるようでした。
かったら、だきしめてあげたかったのに、
なにをしてあげられるのかわかりませんでした。
ハハは、「またつぎがあるよ」
といってくれました。
「まけるってとても大せつなことなんだよ。
いいべんきょうになったね。」といいました。
くやしさをバネにする人は、
とてもつよいきもちなんだとおもいます。
わたしもこころのつよい、がんばる人でいたいです。
 
おねえちゃん、またこんどがんばってね。


(原文のまま)

如何でしたか?
私は読み終わった時、
日溜まりの中に居るような心地よい安心感をおぼえました。

「じごくはしらないけれど、じごくにいるようでした」
とM子さんは書いています。
M子さんのお姉さんは、
来る日も来る日も練習を重ね、技を磨き、この日を迎えたのですね。

そのひたむきな姿を見ていたM子さん、
そしてご家族の誰もが
お姉さんの努力が報われる事を願ったに違いありません。
でも、出された結果は…。
お姉さんの悔しさ無念さはそのままM子さんの悔しさなんですね。
その事がこの言葉によく表れています。

M子さんの涙は家族みんなの涙です。
でも決して悔しさだけの涙ではありません。
お母さんの涙はこう語っています。
“えらいね、よくがんばったね”
“こういうこともあるよ、色んな事があるよ”…と。

悲しかった日、
辛く苦しいと感じた日、
そのどれもが人生には大切なんですね。